革のこと

機械紹介 〜SEIKO TF-5〜 

革のこと

今回はセイコーのミシン、tf-5を紹介したいと思います。

seikoのtf-5

腕ミシン

ミシンにもいろんな種類があって、様々な分け方がされています。このセイコーのtf5を一番大きな分け方をすると、「腕ミシン」ということになると思います。腕ミシンとはその字のごとく、腕のように突き出た部分が特徴で、下が空間になっているために筒状のものなどをこの腕の部分に通して縫うことができます。

18種ミシン

逆向きな理由

さて、腕ミシンの中でもさらに細分化されるのですが、このミシンは「18種ミシン」と言われます。ほぼ靴を縫うために特化したミシンと言えると思います。靴に特化させることで通常のミシンと大きく異なることになった部分は、ミシンの向きでしょう。

一般的なミシンは針の部分は本体に対して左側についています。しかしこのミシンは本体に対して右側についています。これはどうしてかというと、おそらくですが、ステッチ(ミシンの縫い)をできるだけ端っこに掛けるためかと思われます。

どういうことかと言いますと

針がより外側にくるので、縫い目をギリギリまで持ってこれるというわけです。

これによって靴の履き口なんかは外側ギリギリまできれいに縫えるようになった、のだと思います。ちなみ逆なのは向きだけでなく、プーリーと呼ばれるミシンを手回しで動かしたりする回転部分も逆向きに回ります。慣れるまで大変ですが、踏んでて一番楽しいミシンな気がします。

モーターはクラッチモーター

クラッチモーター

こんな画像だけ載せてもわからない方も多いと思いますが、当工房のセイコーのtf5はクラッチモーターを動力としています。クラッチモーターの他にサーボモーターというのもあるのですが、 クラッチモーターの方がモーターのパワーがダイレクトに伝わる分だけ縫い目も安定やすく綺麗に仕上がると言われていますが、機会は進歩してますからね、実際はどうかわかりません。この18種ミシンのタイプにはクラッチモーターが付いていることが多いですが、サーボモータの場合もあるようです。

今はポストミシンに変わりつつあるようです

この18種ミシンですが、徐々に使われることが減ってきていて、今ではポストミシンと呼ばれる形のものが靴の製造では主流になっているようです。

当工房でもポストミシンの方が使用頻度は多いですね。

でもまだまだ使われている現場も多いですし、僕が学んだ台東分校でも18種ミシンを種主力に揃えていました。うちにあるのは少し古いモデルで、台東分校ではseikoのtf-6というモデルがメインでしたけど。

うちのミシンはうちにやってきた時は動作が結構不安定で、折れ針が変なところに残っていたり、ローラー抑えの回転軸長年の使用で磨耗してずれてしまうようになっていたり、糸調子が合わなかったり。でも構造がシンプルなのでしっかり確認してメンテナンスしてあげると、すぐにその効果が現れるので扱いやすいミシンだと思います。

メンテナンスにはこの本がオススメ

最後に、恒例になりつつあるこの本の紹介です。

ちなみにこの本の監修をしている木島さんは、台東分校にてご指導いただきました。が、特に個人的なつながりはありません。
でもこの本にはいつも助けられているので、家にあるといいと思いますよ。それでは。